特徴的な治療法

腹腔鏡下手術

1.腹腔鏡下手術とは

腹腔鏡下手術とは、腹部に数か所孔をあけて、そこから腹腔鏡カメラや手術器具を挿入し、テレビモニターを見ながら行う手術のことです。 従来のおなかを切る手術にくらべ、①非常に小さな創で済むために患者さんの術後の痛みが少なく早期回復が可能、②腹腔内に二酸化炭素を注入しながら手術するため、気腹圧により出血が抑えられ輸血が必要となるリスクが少ない、③腹腔鏡でより拡大した視野が得られるため、丁寧で安全な手術が可能などのメリットがあります。当院では2000年より積極的に腹腔鏡下手術を導入してきており、十分な知識と経験にもとづいて高度な腹腔鏡手術技術が培われております。

2.腹腔鏡下手術が行われる疾患

①副腎腫瘍
特に女性の場合、たとえ腹腔鏡下手術による小さな傷でも整容上問題となることがあります。副腎腫瘍に対しては、おヘソに唯一の孔をあける単孔式手術(いわゆる傷のない手術)での摘出も可能です。

副腎腫瘍

②腎臓腫瘍
腫瘍の大きさ、部位により術式を選択します。腫瘍径4cm以下で、腎臓の重要な血管に位置しない腫瘍に関しては、積極的に腹腔鏡下腎部分切除術を行い、正常腎組織を温存するよう心がけております。それよりもサイズが大きい腫瘍に対しては、腹腔鏡下腎摘除術を行っています。

③前立腺腫瘍
「ダヴィンチXi」を用いたロボット支援下手術で行うことが多いですが、持病によりロボット支援下手術が行えない場合には腹腔鏡下前立腺全摘術を行います。

④腎盂尿管移行部狭窄症
狭くなった尿路を切除し、新たに縫合する手術です。髪の毛よりも細い糸を使って縫合しますが、腹腔鏡による拡大視野により、緻密な手術操作が可能です。

腎盂尿管移行部狭窄症

⑤尿膜管遺残摘出術
胎生期に消失するはずの臍と膀胱をつなぐ尿膜管が遺残していると、感染や腫瘍発生の温床となる危険があるため、腹腔鏡下に摘出します。

3. 安全面での取り組み

腹腔鏡下手術は、開腹手術とは異なる高い技術や知識が求められます。当院では、日本泌尿器内視鏡学会が定めた泌尿器腹腔鏡技術認定制度の審査を受け、技術を認定された医師のもとで、すべての腹腔鏡下手術を行います。