特徴的な治療法

男性尿失禁に対する人工括約筋埋込み術

男性尿失禁と人工尿道括約筋(AMS-800)
尿失禁とは尿が漏れることをいいます。膀胱に原因がある場合と尿道括約筋に原因がある場合に分類され、このうち後者が腹圧性尿失禁と呼ばれます。男性の腹圧性尿失禁は前立腺癌に対する前立腺全摘手術の手術後に多く見られ、手術方法にかかわらず一定の頻度で起きる避けられない合併症と考えられています。人工尿道括約筋は尿道の周りにシリコン製のチューブを巻き付けその中に液体を充填することで尿道を圧迫し、尿失禁を治療します。世界的にはAMS-800という機種が用いられており、日本でも2012年に保険診療で手術をおこなうことが認可されました。

AMS-800植え込み術
人工尿道括約筋(AMS-800)は3つのパーツに分かれています(図に番号で示しています、①尿道を圧迫する部分、②液体を貯留しておく部分、③陰嚢内に設置して尿道括約筋を動かすスイッチとなる部分)。手術は、会陰部に切開を加えて尿道のサイズに合わせた①のパーツを埋め込みます。次に、鼠径部(一般的には右側)あるいは下腹部に切開を加えて②と③のパーツを埋め込みます。手術は2時間程度で終わります。

男性尿失禁に対する人工括約筋埋込み術

手術後、シリコン製の人工括約筋が尿道になじむのに2ヶ月程度かかります。その期間は人工括約筋をゆるめたままの状態(スイッチを切った状態)にしておきます。これを行わずに早期から作動させた場合には尿道の萎縮や炎症による括約筋の尿道内への脱出が起こりやすいといわれており、最悪の場合には摘出や再手術が行われる場合もあります。AMS-800の詳細は、以下のサイトでも参照できます。

治療成績と注意点
これまで人工括約筋の手術成績の報告は多く見られます。代表的な報告では、尿パッド使用が1日1枚以内となる割合が61~96%という報告(2005年にアメリカ泌尿器科学会雑誌に発表された世界の複数施設の治療成績をまとめた論文” THE CURRENT ROLE OF THE ARTIFICIAL URINARY SPHINCTER FOR THE TREATMENT OF URINARY INCONTINENCE. The Journal of Urology 2005(174), 418-424”)が見られます。高い有効率ではありますが、必ずしも100%の有効率ではなく、一部には効果が見られない方もいらっしゃいます。その点を十分ご理解ください。なお、当院における最近3年の治療成績(2018年以降、合計24件)は右図の通りです。

治療成績と注意点