患者の皆様へ

小児泌尿器・尿路再建外来

毎週月曜日午後、金曜日午後 / 担当医:浅沼 宏

小児から若年成人期の泌尿器疾患には先天性(生まれつきの)疾患が多いのが特徴です。最近、このような疾患は超音波検査など診断技術の進歩や普及によって新生児・乳児期、さらに胎児期といったより早期に発見されるようになっています。また、小児においても疾患によっては内視鏡(膀胱鏡、腹腔鏡)を利用した体への負担の少ない治療が可能となっています。

診療頻度の高い疾患の中では、出生時に精巣が陰嚢内へ下降していない停留精巣は乳児期の手術が積極的に行われるようになっています。小児期の尿路感染症の要因として最も重要な膀胱尿管逆流や胎児超音波検査で発見されることが多くなった先天性水腎症は、診断後早期に手術が必要となるお子さんがいる一方で、成長にともなって自然に改善してくるお子さんがいることも分かってきました。治療が必要な場合も膀胱鏡や腹腔鏡を利用した手術が可能となっています。また、立位排尿や将来の性交渉の障害となる尿道下裂は手術方法の改良が進み、術後の合併症が軽減され審美的にもその治療成績は向上しています。さらに、学童期に問題となる夜尿症は経口薬やアラーム療法など新しい治療法が導入されています。

「小児泌尿器・尿路再建外来」では主に下記のような疾患をお持ちの小児から成人期を含めた患者さまを対象に、最新の医学的根拠に基づいて「疾患の病態、治療方法、長期的見通し」などをご家族の方にも分かり易く説明し、十分ご納得をいただいた上で診療を進めていきます。また、ホルモン機能や消化管など他のさまざまな臓器にも関連する複雑な病態を持つ患者さまや、腎・膀胱・精巣などの小児がんの患者さま、自己導尿など自宅での排尿管理が必要な患者さまに関しては、小児科・小児外科などの各専門医や専門看護師などとチームを組織し、より総合的な医療の提供に努めています。

小児の手術療法には、元来、緻密で繊細な形成手術が多いことが特徴です。当科ではこの手術技術を成人期の外傷やがん治療における尿路再建手術にも応用し、良好な治療成績をあげています。特に、尿道狭窄に対する尿道形成術に関しては、国内随一の実績を誇る防衛医科大学校泌尿器科・堀口明男先生(http://square.umin.ac.jp/impreza/)と連携し、小児の患者さまや成人期を含めて尿道下裂を原因とする患者さまは主に当科で治療にあたっています。

対象となる主な疾患

  • 上部尿路疾患
    先天性水腎症、膀胱尿管逆流、腎腫瘍(ウィルムス腫瘍など)、多嚢胞性異形成腎、腎結石、巨大尿管症、重複腎盂尿管、異所開口尿管、尿管瘤
  • 上下部尿路疾患
    尿道下裂、夜尿症、神経因性膀胱、後部尿道弁、総排泄腔遺残、総排泄腔外反症、膀胱外反症、膀胱腫瘍(横紋筋肉腫など)、過活動膀胱、尿道上裂、前部尿道弁、尿道脱、尿道外傷
  • 上生殖器疾患
    停留精巣、移動性精巣、精巣腫瘍、精索静脈瘤、精巣捻転症、二分陰嚢、  埋没陰茎、陰茎腹面屈曲、陰茎回転症、包茎、性分化疾患(先天性副腎皮質過形成、混合性性腺異形成など)
  • 小児腎移植
    (当院で腎不全管理が可能な患者さまが対象となります)