教室紹介

慶應義塾大学病院による、一般市民向け前立腺がん啓発イベント
“PSAスクリーニングキャンペーン”について

現在、前立腺がんは欧米諸国において、男性のがん罹患率第1位の主要ながんで、早期発見できれば手術・放射線療法により完治が可能になってきました。本邦でも増加傾向で、男性のがん罹患率第1位になることが推定されていますが、前立腺がんへの関心がそれほど高いとは言えず、早期発見のためのPSA(Prostate Specific Antigen: 前立腺特異抗原の略で前立腺がんの腫瘍マーカー)検診の暴露率が低いこともあり、初期診断時に転移進行がん患者さんの割合が欧米諸国に比較して未だに多い現状があります。

当教室では2013年から前立線がんの早期発見のため、また地域医療に貢献したいという思いから、PSA検診の重要性を伝える啓蒙活動であるPSAスクリーニングキャンペーンを実施しております。このキャンペーンは、当泌尿器科教室員のみならず、臨床検査技師や医療連携推進部の事務の皆様とともに慶應義塾大学病院の職員一丸となって、毎年秋に開催しております。

キャンペーンの案内は、慶應義塾大学病院ホームページや院内・新宿区医師会の病院・医院・信濃町商店街などで周知し、事前予約制としております。年々参加希望の方が増え、2-3週間前には満員御礼となり、盛況となっております。

前半の市民公開講座では、大家教授の情熱あふれる分かりやすい講演に、参加者はメモを取りながら熱心に聴講されています。講演後、医師による問診後にPSA採血を行い、採血の順番待ちの間には、当科の専門医による、Q&Aコーナーを設け、採血の合間に希望者に対して質問や相談を受け付けたりしています。事前準備の成果もあり、円滑に事故なく、無事に本キャンペーンを遂行することができました。参加者に対するアンケートの集計結果から、前立腺がんや検診の重要性が理解できた、家族や友人に勧めようと思った、という声が多く聞かれ、毎年反響の大きさを痛感しております。

尚、このキャンペーンでPSA異常値が出た参加者は、当院を紹介加算無しで受診し、慶應義塾大学病院で精密検査できるように病院執行部よりご配慮いただいております。当教室では、今後も引き続き、少しでも地域住民の皆様の医療福祉の向上に役に立ちたいという思いから、前立腺がん早期発見に対する啓蒙活動を継続していきます。