学生・研修医の方へ

教室の特徴

慶應義塾大学泌尿器科では教室員の教育方針を以下の3つに集約しています

① 泌尿器科学は癌治療と、内分泌代謝学、神経泌尿器科学、移植医療、生殖医学など、幅広い良性疾患の分野を有する総合医学であるという観点に立ち、診療や研究を推進する。

我々はこれを「1+3」構造と呼びともすれば雑多で関連の少ない学問分野が集合しているように見える泌尿器科学の体系を整理しています。悪性疾患と良性疾患に大きく分け、「1+3構造」の1をa) 腎癌、b) 膀胱癌、c) 前立腺癌、d) 精巣腫瘍の4分野で構成される悪性疾患に充てています。良性疾患は多岐にわたりますが、専門性を重視し、3つの領域に集約させます。領域Iは腎臓・透析医学とし、腎移植も含みます。領域IIは内分泌代謝学と神経泌尿器科学とし、副腎疾患や神経因性膀胱、排尿機能障害等を含みます。領域IIIは生殖医学、アンドロロジー、性機能とします。領域間で有機的な連携をとることで、質の高い医療を提供するのみならず、これを基盤に基礎研究も推進しています。

② 安全で質の高い医療を提供するために、個人の努力に依存するのではなく、科内で情報を共有し協力体制を構築してゆくこと、他科連携や多職種共同も含めたチーム医療を積極的に推進すること、専修医・研修医の臨床教育に最大限の力を注ぐことなどに重点を置く。

当教室ではこれまで米国のレジデント制度を取り入れた伝統的な研修プログラムを推進してきました。新専門医制度の下でも専修医1年目は泌尿器科フレッシュマンとして慶應義塾大学病院で研修を開始し、2-3年目は関連病院へ出向、4年目で大学病院へ帰室し泌尿器科専門医を取得、5年目でチーフレジデントとして大学病院病棟の運営や手術の中心的な役割を担当する、といった原則5年間での育成プログラムを採用しています。1年間のチーフレジデント業務は多忙を極めるものではありますが、数多くの臨床経験のみならず、大学病院でチームの中心となって他科・他職種との連携をコーディネートした自信が、その後の医師としての人生に反映されてゆくことを期待しています。

③ 臨床所見から生じる疑問や課題の解決を、基礎的研究に求め、その成果を臨床研究や実臨床に反映してゆく双方向的研究を推進することで泌尿器科学における指導的立場を担う。

現在における研究は分子生物学あるいは生化学的手法なくしては研究の質が担保できません。当教室では特に泌尿器がんにおける分子・細胞生物学的解析にかけては世界をリードしています。他施設との共同研究による臨床検体の病理学的・分子生物学的な解析の実績も数多くあり、アットホームな雰囲気の中で教室員が協力しながら切磋琢磨しています。また成果は若いうちから国際学会で発表してもらっています。